太平洋の試練 ①

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No.592 2017.3.11





イアン・トール著「太平洋の試練 真珠湾からミッドウェイまで 上下巻」をやっと読み終えた。
途中で他の本が割り込んだり、また毎月出る文藝春秋にも半分くらいの時間を取られたりした結果、三カ月ばかり掛かった。
読了後分かったのだが、更に続きがあるらしい。
それはそうだ、ミッドウェイで終わるのはおかしい。
それは最初から感じていたことだった。
「ガダルカナルからサイパン陥落まで 上下巻」が現在出ている。
これもおそらくその次があるのだろう。
段々読むのが辛くなるかもしれない。

ミッドウェイ海戦前夜の帝国海軍は戦力的にアメリカ海軍を上回っていた。
普通に戦えば少なくともあのような惨敗になり得なかったのに敗けた。
三つの敗因があったと思う。
最大の敗因は情報戦で負けていた点にあった。
アメリカ軍はその時点で日本軍の暗号をほぼ完璧に解読していた。
しかし次の進攻先(日本側暗号でAF)についてミッドウェイを疑ったが確信が持てなかった。
そこで一計を案じ、ミッドウェイ島から平文で「蒸留装置の故障で飲料水が足りない」と打電した。
それを傍受した日本軍が、「AFで真水が不足」と打電したのは、情けないが有名な事実である。
1942年6月4日に日本の機動部隊がミッドウェイに攻めてくることをアメリカ軍は知っていた。
この時アメリカ軍が日本空母殲滅だけを真っすぐに目指したのに比べ、日本側の作戦は複雑過ぎて的を絞りきれなかった。
結果的にわずかな誤差の蓄積が取り返しのつかない結果に繋がった。
これが第二の敗因だ。
そして三番目はレーダーである。
ミッドウェイ海戦時点でアメリカ軍はレーダーを実用化していた。
対する日本軍は肉眼が頼りだった。
だから急降下爆撃機に気付くのが遅れた。
これらに付け加えるとしたら慢心だろう。
日本は緒戦の勝利ですっかり調子に乗っていた。
何の根拠もないのに敗ける筈がないと高を括っていた。
ミッドウェイの前哨戦となった珊瑚海海戦が示した予言、空母同士の対決は予測がつかないという核心的な問題点を正視しなかった。
事前の図上演習において赤城と加賀が沈没すると、審判を務めた宇垣参謀長は「待て」と言いその結果をなかったことにした。
出撃を準備していた呉では、高級将校が赤線の娼婦に機密作戦の極秘情報をペラペラしゃべるので、出港前に町の人達はみなミッドウェイ作戦のことを知っていた。
こうして出撃した帝国海軍機動部隊は、戦力に劣るアメリカ海軍の返り討ちに逢い完敗した。
一度の海戦で三千人以上の戦死者を出した。
平成における太平洋の試練となったあの時、六年前の犠牲者はその六倍にも上っている。
毎年ミッドウェー海戦で敗け続けるほどの犠牲を生んだ痛ましい出来事の、はたしてその教訓は生かされたと言えるだろうか。
仮設住宅に三万人を超える被災者を残したまま、今日東日本大震災は七年目に入った。














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